近年、痛みが少なく周囲の人にも気付かれにくい歯列矯正の方法として、20代~30代の女性を中心に人気を集めているのが「マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン)」です。
従来の矯正のように歯の表面に直接器具やワイヤーを付けるのではなく、透明のマウスピースを用いて歯を動かす矯正治療法で、アメリカのアライン・テクノロジー社が1999年に「インビザライン・システム」を開発・提供したことから始まりました。
歯列矯正を検討する中で、マウスピース矯正に興味がある方も多いと思います。一般的なワイヤーを用いる矯正ではなく、目立ちにくいマウスピースを装着することで歯並びを整える矯正は、多くの人と対面する機会の多い社会人にとって魅力的な方法です。
今回はマウスピース矯正について詳しくご紹介します。
どんな矯正方法?
コンピュータを用いて歯の移動を三次元的にシミュレーションし、3Dプリンターでその人に合わせたマウスピースを製作することで、難しいとされる矯正治療でも行えるようになっています。
「アライナー」と呼ばれるマウスピースを装着して歯並びを整えていきます。一人ひとりの歯に合わせて作成するアライナーを、治療の段階に沿って新しいものに取り替えながら少しずつ歯を動かしていきます。治療期間はワイヤー矯正とほぼ変わりません。
なお、永久歯が生えそろった方を対象とした治療方法のため、当院では中学生以上の方のみ治療を行っています。
リテーナーとの違い
リテーナーは矯正治療が完了した後に装着する装置のことで、歯の位置を安定させたり噛み合わせを保持する役割があります。治療完了直後は歯の根元が動きやすく、せっかく整えた歯がずれてしまう可能性があるため、リテーナーは歯列矯正に必要不可欠なものです。
治療を終えたにもかかわらず、長い期間装着しなければならないこともあるのでストレスに感じる方もいらっしゃいますが、美しい歯並びを維持するために取り組んでほしいと思います。
なおリテーナーの装着期間には個人差がありますが、おおよそ1年~3年ほど、矯正にかかる時間とほぼ同期間と考えておきましょう。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン)の費用の相場
最新技術を駆使していることもあり、他の矯正方法に比べて高額だと懸念される方もいらっしゃいます。
費用の相場は30〜120万円
インビザラインの費用は矯正期間や治療箇所、治療の難易度によって決まります。よって相場と言っても幅広いですが、目安は以下の通りです。
- 部分的な矯正:約30万円
- 軽度な症状の矯正:約50万円
- 標準的なフル矯正:約80万円
- 難易度が高いフル矯正:約120万円
上記の目安はどの歯科医院へ行っても大きく変わることはありませんが、歯科医院によって別途カウンセリング費用が毎回かかったり、精密検査の際に追加料金が発生することもあるので、事前に確認することをおすすめします。
また、治療途中で矯正期間が延びたりすると、当初の予定よりも治療費がかさむ場合があります。当院ではこれらも加味した金額を提示し、予定外に費用が発生しないよう努めています。
歯の矯正治療は保険適用外
インビザラインに限らず歯の矯正治療は保険適用外となります。顎の変形があるといった特殊な例や全身麻酔による外科手術を併用する場合は保険が適用されますが、それ以外の矯正には注意が必要です。
しかし、世帯収入や医療費の金額によっては高額医療や医療費控除の対象になる場合があるので、気になる方はご相談ください。
マウスピース矯正のメリット
矯正装置が目立ちにくい
インビザライン最大の特長は、マウスピースの素材が透明で目立たないことです。口に入れた状態でも周りの人から歯の矯正をしていることに気付かれにくく、一般的な矯正方法に比べて治療へのストレスを減らすことができます。ワイヤー矯正より見た目に影響が少なくなります。
痛みが少ない
一般的なワイヤー矯正では、歯に強い力を加えて正常な位置に戻そうとするため、大きな痛みを伴うことがあります。それに比べてマウスピース矯正は、1つのマウスピースにつき約2週間かけて徐々に歯を動かしていくため、急激に力が加わることなく治療を続けることができます。
また、完全オーダーメイドなのでしっかりと歯にフィットします。ワイヤー矯正のように突起物がないため、器具がずれて痛みを感じることや、金属で頬の内側の粘膜を傷つけたり、口内炎が生じる可能性も少なくなります。
食事や歯磨きの際に取り外せる
マウスピースは必要に応じて取り外すことができるため、矯正装置に食べ物が詰まる心配がなく普段通りに食事が楽しめます。食後も取り外した状態で歯磨きができるので、磨き残しが少なく、口内環境を清潔に保つことができます。
金属アレルギーの人も使える
マウスピースの素材はポリウレタンなので、金属アレルギーの方でも安心して使用することができます。
通院回数が少ない
コンピュータによってカスタマイズされた治療計画を基にマウスピースを製作するため、治療前にすべての工程の型取りを行います。そのため毎回型取りをする必要がなく、他の矯正方法に比べて通院頻度も低くなります。
マウスピース矯正のデメリット
治療を受けられないケースがある
顎の大きさやバランスなど骨格そのものに問題がある場合や、極度に歯並びが悪い場合はマウスピース矯正での改善が難しいことがあります。人によってはワイヤー矯正の方が適しているため、検査を行った上で最適な治療方法を歯科医師と相談しましょう。
装着時間を自分で管理する必要がある
マウスピース矯正は取り外しが可能な分、決められた装着時間を自分で管理し、守っていかなければなりません。装着時間が短いと思うような結果が得られず、治療が長引くこともあるので、自己管理能力が非常に重要です。
まとめ
今回はマウスピース矯正についてご紹介しました。自己管理能力が求められるものの、マウスピース矯正は比較的負担の少ない矯正方法です。ぜひ選択肢の一つにいれてみてください。
当院では子供から大人まで幅広く矯正治療を行っており、初めて来院したときから矯正治療終了までの流れをカウンセリングにて丁寧にご説明します。もし歯列矯正に興味を持った方、検討したい方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
なお、アップル小児矯正歯科のマウスピース矯正についてはマウスピース型カスタムメイド矯正装置 (インビザライン)のページでも詳しく紹介しています。
※マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)は、薬機法対象外の矯正歯科装置であり,医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。