下の前歯が乳歯の内側から生えてきた!様子見でいい?受診の目安
乳歯がまだ残っているのに、その内側から永久歯が顔を出していたら、「このままで大丈夫?」と驚く保護者の方もいるかもしれません。前歯が二重になったように見えると、歯並びへの影響も気になります。
結論から言うと、下の前歯では多くの場合、すぐに処置をせず様子を見ることができます。この記事では、その理由と受診を考える目安を、歯科医師の立場から整理します。
下の前歯が乳歯の内側から生えるのは、6歳前後によくある生え方です

下の前歯は、乳歯から永久歯へ最初に生え変わる歯です。永久歯が乳歯の内側(舌側)から顔を出すことは生え変わりの途中でよく見られ、それだけで異常とは判断しません。
生え変わりは6歳前後に下の前歯から始まる
日本歯科医師会によると、乳歯から永久歯への生え代わりは6歳前後から12歳頃にかけて進みます。[1]
日本小児歯科学会の全国調査では、下顎の中切歯(真ん中の前歯)の平均萌出年齢は、男子で6歳3か月、女子で6歳0か月と報告されています。[2] 時期には個人差があり、数か月から1年ほどのずれは珍しくありません。
永久歯は乳歯より大きく、場所が足りないと内側に出やすい
日本歯科医師会によると、永久歯は乳歯より大きく、生え代わりの早い下の4本の前歯では5mm以上の幅が不足します。[1] 不足分は、隣り合う乳歯のすき間などで補われます。
場所に余裕がないと、永久歯は乳歯の真下ではなく内側寄りから出てきます。永久歯と乳歯が前後に並んで見えるのは、このためです。
当院でも、内側から生えた下の前歯は経過観察が基本
当院では、下の前歯の永久歯が、抜けていない乳歯の内側(舌側)から生えてくるのはよくあることと考えています。ほとんどの場合は、そのまま様子を見てよい状態です。
乳歯が抜けると、内側の永久歯は舌の力で動いていくことが多い
乳歯が抜けて空いた場所へ、内側の永久歯は舌に押されながら本来の位置に向かって動きます。生えた時点の位置だけで、将来の歯並びが決まるわけではありません。
下の前歯は内側に出たあと、数か月かけて前へ動く
正常な永久歯列の小児40名を2か月ごとに記録した研究があります。それによると、下顎の永久中切歯は乳中切歯のあった位置より約1.5mm舌側に出て、その後4か月ごろまで唇側へ大きく移動しました。[3]
少人数の研究なので、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。ただ、内側に出ても前へ動いていくという考え方の裏づけになります。
抜歯は麻酔を使うため、当院はなるべく自然に抜けるのを待ちます
乳歯を早く抜けば、永久歯が動きやすくなる場合もあります。一方で、抜歯には麻酔を使います。幼いお子さんは、処置そのものを怖がることがあります。
当院では、お子さんの負担を考え、なるべく自然に抜けるのを待つことを基本としています。
様子を見る間は、二重になった部分の仕上げ磨きを丁寧に
乳歯と永久歯が重なる部分は、歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすくなります。生えたばかりの永久歯は歯質が未成熟で、むし歯になりやすい時期でもあります。
当院の予防歯科・定期検診では、担当の歯科衛生士が染め出しで磨き残しを確認します。仕上げ磨きのコツも、保護者の方に具体的にお伝えしています。
1か月たってもグラグラしない・食事で痛がるなら受診を考えましょう

内側の永久歯が生えて1か月たっても乳歯がグラグラしない場合や、食事のときに痛がる場合は、歯科医院で確認します。レントゲンで乳歯の根の状態を見たうえで、抜歯を含めて判断します。
様子見でよい場合と、受診を考える場合の線引き
目安を表にまとめました。個人差があるため、迷ったときはご相談ください。
| 状況 | 考え方 | 目安の対応 |
|---|---|---|
| 乳歯が少しグラグラしている | 抜ける準備が進んでいる | 経過観察 |
| 生えて1か月たってもグラグラしない | 乳歯の根が吸収されていない可能性 | 受診を検討 |
| 食事のときに痛がる | 乳歯や歯ぐきの状態の確認が必要 | 早めに受診 |
| 乳歯が抜けても内側の永久歯が動かない | 位置や場所の不足を確認したい | 受診を検討 |
乳歯の根が吸収されないと、抜歯が必要になることがある
日本小児歯科学会は、永久歯が生えているのに乳歯が抜けていない場合、早めに抜歯すると歯並びの乱れを防げることがあるとして、かかりつけ医への受診をすすめています。[4]
また、大きなむし歯で神経を抜いてかぶせた乳歯は、うまく吸収されず、永久歯が横から生えてくることがあるとも説明されています。[5] 乳歯が自然に抜けない理由はお口の状態によって異なるため、レントゲンで確認します。
受診した日の流れ:レントゲンで根を確認し、必要なら抜歯を相談
当院では、レントゲンで乳歯の根の状態を調べます。根が残って動かない場合は、抜歯をご提案することがあります。抜歯は麻酔を使って行います。お子さんが怖がらないよう、保護者の方と相談しながら進めます。
初めて来院される方の不安や気がかりは、クリニカルコーディネーターが20分ほどかけてうかがいます。流れの詳細は初めての方へ(初診の流れ)でご案内しています。
まとめ
- 下の前歯は、6歳前後に最初に生え変わります。乳歯の内側から永久歯が出ることはよくあり、当院でも経過観察を基本としています。
- 永久歯は乳歯より大きく、下の前歯4本では5mm以上の幅が不足します[1]。そのため内側に出やすくなります。
- 内側に出た永久歯は、乳歯が抜けると舌の力などで前へ動いていくことが多いと考えられます[3]。
- 当院では、抜歯に麻酔を使うこともあり、なるべく自然に抜けるのを待つ方針です。二重の部分は仕上げ磨きを丁寧にします。
- 生えて1か月たっても乳歯がグラグラしない、食事で痛がる場合は、レントゲンで乳歯の根を確認して判断します。
生えて1か月たっても乳歯がグラグラしない、食事で痛がるなど気になる様子があれば、アップル小児矯正歯科にご相談ください。レントゲンで乳歯の根を確認し、様子を見てよいか抜歯を考えるかを、保護者の方と一緒に検討します。お電話は0120-567-418(または0144-35-5524)です。初めての方は、初めての方へ(初診の流れ)もご覧ください。
参考文献
[1] 日本歯科医師会「歯とお口の発生と育ち方 – テーマパーク8020」jda.or.jp
[2] 日本小児歯科学会「日本人小児における乳歯・永久歯の萌出時期に関する調査研究Ⅱ ──その2.永久歯について──」(J-STAGE)jstage.jst.go.jp
[3] 「永久中切歯の萌出過程について」(J-STAGE)jstage.jst.go.jp
[4] 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱 小学生低学年」jspd.or.jp
[5] 日本小児歯科学会「こどもたちの口と歯の質問箱 3歳ごろから就学前まで」jspd.or.jp








